障害者手帳の等級の意味と変更方法かんたん解説

障害者手帳の等級

障害者手帳の等級とは

障害者手帳の等級とは、この手帳の所持者が抱えている障害の程度をあらわしたもので、記載されている数字が小さいほど重い障害を抱えていることを意味するのが基本です。

日本における障害者手帳には、身体障害者に対して交付されるもの、精神障害者に対して発行されるもの(精神障害者保健福祉手帳)、知的障害者に交付されるもの(療育手帳)の3種類があります。

身体障害者に交付される手帳では、障害を抱える部位ごとに程度に応じて1~7級が定められ、それらを総合的に評価して手帳の等級が決められます。精神障害者保健福祉手帳には、所持者が認定された精神障害の重さが1級・2級・3級のいずれかであらわされます。

一方、療育手帳に記載される知的障害の程度は検査の測定値や生活習慣、問題行動の有無などから判定されますが、階級の分け方は都道府県ごとに異なっています。

例えば、東京都発行の「愛の手帳」には1度から4度までの4階級で、大阪府の療育手帳にはA・B1・B2の3階級で知的障害の程度があらわされています。

障害者手帳に等級がある理由

障害者手帳に等級が存在する理由は簡単に述べると、社会福祉サービスを提供する行政側の都合といえます。身体や精神に障害を持つ人が健常者と同等に自立した社会生活を営めるように環境を整備することは、法律によって行政に課せられた責務です。

しかし、障害の程度は各人で異なっており、行政がこの責務を果たすために障害者に提供すべき行政サービスも異なります。

もし、等級が存在しなければどのような社会福祉サービスを与えるのが適切なのかを障害者ごとに考えなければならず、行政側の負担が増し、サービスを受ける障害者の間にも不公平感がうまれる可能性があります。

障害の程度に応じて階級分けを行い、同じ階級の者に等しくサービスを提供する手法は、この可能性を極力なくすための方策の一つです。

実際に、1950年4月に身体障害者福祉法が施行された当時は支援の対象とする障害が5つ指定されただけで階級分けの制度はありませんでしたが、障害の認定をめぐって様々な問題が発生したことから、施行から4ヶ月後の8月に当時の厚生省社会局長通知の中で階級表が提示されています。

障害者手帳の等級の変更方法

障害の程度が変わったり、新たに別の部位に身体障害が出た場合は、在住している市区町村役場の障害福祉サービスを担当する部署の窓口に等級の変更を申請すると、記載内容が変わった新しい障害者手帳の交付を受けられます。

変更の申請は、所定の用紙に医師が作成した診断書や手帳に使用する顔写真、現在所持している障害者手帳、個人番号カードなどを添付して、自治体指定の交付申請書を提出することによって行います。

個人番号カードをもっていない場合は、通知カードや住民票の写しといった個人番号が記載されている書類1点と、本人確認書類1点があれば手続きをとることができます。ところによっては印鑑が必要となる場合があるので、念のため認印も持参しておきましょう。

もし、添付書類の不足や記入内容の不備などがなければ審査にかけられ、認定されれば本人に結果が通知されて手帳の受け取りが可能になります。

申請書類を提出してから手帳が交付されるまでにかかる期間は1~2ヶ月程度と長いので、新しい手帳が必要な場合は早めに申請手続きを行うようにしましょう。

障害者手帳の等級が重度に変更になった場合の社会福祉メリット

身体・精神・知能のいずれかに障害がある人は障害者手帳を所持あるいは提示することによって様々なメリットを受けられ、その程度は障害が重い、言い換えれば手帳に記載されている障害等級が高いほど大きくなります。

社会福祉の分野におけるメリットの例について述べると、等級があがって重度の障害者に認定されると、車椅子や義肢、盲人安全つえなどの福祉機器の購入や修理に必要な費用の一部が助成の対象になったり、病院に通う時にかかる医療費を一定の金額を上限として補助を受けられる場合があります。

手すりの設置や段差の解消、ドアの引き戸タイプへの変更などといった自宅のバリアフリー化をすすめる際にも、必要書類を提出すればリフォーム代の一部を自治体で負担してくれるようになります。

また、バスや鉄道などの公共交通機関を使って移動するときや、住んでいる地域内にある公共施設を利用するときにも、重度障害者であることを示す障害者手帳を提示することで料金の割引や免除を受けられる場合があります。