育休手当をもらっても配偶者特別控除を申請できる理由
配偶者特別控除は、働いている妻に十分な収入があれば適用されないのですが育休期間の場合にはもらえる可能性があります。というのも育休手当を貰える条件は、妻が雇用保険に入っていて休みに入る2年前までに11日以上働いた月が12ヶ月以上あることです。
このことから、妻が働いていた期間と日数が条件を満たせば育休手当は問題なくもらえます。しかも、雇用保険法においてはこのときにもらえる手当は働いて稼いだ賃金ではなく、失業手当と同じものとして扱われます。そのため課税対象となる所得にはなりません。
一方で配偶者特別控除を受けられる条件は、旦那と妻が稼いでいる収入がそれぞれ定められた制限内であることです。手当が収入と同じように扱われない以上は、育休中には無収入になるので合計年収が制限以下になる世帯も少なくありません。
ですから、育休前に稼いでいた妻であっても申請が出来る可能性があります。この事を知らないと損をするので、よく調べておいたほうが良いでしょう。
1年間の育休期間中に配偶者特別控除を申請した場合、いくら節税できる?(旦那年収500万円のケース)
妻が1年間の育休期間に入っている時、配偶者特別控除を申請したときにいくら節税ができるのかを見てみましょう。
旦那の年収が500万円だとしたら、妻は育休手当をもらっても収入として扱われず配偶者特別控除を受けられる103万円以上201万5,999円以下の年収になることもあります。もし妻の年収が制限を超えなければ、最高で38万円の控除を受けられます。
その38万円分だけ税金が減るのかというと、そういうことではありません。あくまでも控除額ですから更に計算が必要です。
そのために求めたいのは旦那の課税所得です。給与所得控除は収入に20%を掛けて54万円を足した154万円なので、500万円から差し引きますと346万円となり給与所得として扱われます。
そこから基礎控除の38万円を差し引いた308万円が課税所得となり、所得税率を調べてみると10%です。つまり配偶者控除の38万円が考慮されるかどうかで変わるのは、38万円に10%を掛けた3万8000円が答えです。
さらに住民税は最高で33万円の控除を受けられます。住民税の税率が10%だとしたら3万3000円で、住民税と合わせた7万1000円が節税額になります。
1年間の育休期間中に妻が140万円の賞与をもらえる場合の配偶者特別控除の計算方法(旦那年収500万円のケース)
旦那の年収が500万円で、妻が1年間の育休期間中140万円の賞与をもらえる場合には、育休手当と違い収入に含まれます。
では、それを考慮した計算方法はどうなるのかというと、少なくとも妻には140万円の収入がありますが、給与所得控除が65万円を差し引いた51万円が合計所得です。
すると、旦那の年収が500万円で妻の合計所得が38万円から85万円というカテゴリが適用されて控除額が38万円になります。
ここから旦那の年収から給与所得控除である(収入の20%+56万円)を差し引いた344万円が給与所得になり、そこから基礎控除の38万円と配偶者特別控除の38万円を引いて268万円が課税所得になります。
ここで265万円の所得税率が10%なので26万5000円、さらにそこから控除として9万7500円が差し引かれて17,500円が所得税額です。
住民税の場合には、所得割額を計算すると給与所得から基礎控除38万円と配偶者特別控除の33万円を引いた残りの273万円が課税所得で、所得割額の税率が10%ですから27万3000円という数字が出てきます。
そこに均等割税を加え調整控除を引いて住民税の合計額が求められます。
育休中の配偶者特別控除の手続き方法・必要書類
妻の育休中に配偶者特別控除を申請したいとおもったとき、手続きをする方法は旦那の会社で行っている年末調整を利用しましょう。そのためにも、妻が育休に入ったときに、まず会社に報告をします。
そして会社は10月頃になると年末調整をするための準備に入りますから、配偶者控除等申告書と扶養控除申告書を提出してください。夫婦の名前や所得など必要な情報を間違いがないよう、注意深く書類を作成しましょう。
書類の提出が終わればあとは年末調整後の源泉徴収票で確認ができます。なお年収はその時点では確定していないでしょうから、これまでのデータを元に計算をして予想の年収を記入しておけば大丈夫です。
年末調整が出来なかったり、書類の提出が間に合わなかったときには確定申告で手続きができます。確定申告書に配偶者特別控除を受けること、そして控除額を記入してから提出するだけです。
他には添付するべき書類などはありません。確定申告書は税務署や深刻相談会で配布していますし、国税庁のサイトから書類のファイルをダウンロードして印刷しても構いません。